灯(ともしび)

昔、ヒマラヤのふもとに、たくさんの鳥や獣たち、そして、一羽の小鳥が住む竹やぶがありました。


ある風の強い日のこと、竹と竹がこすれ合って突然火の手が上がりはじめ、さらに風が吹きつけ火はみるみると、どんどんと大きく大きくなって辺り一面が火の海に。


竹やぶからは鳥や獣たちの激しく突き刺すような悲痛な鳴き声が。 


そんな中、一羽の小鳥はこれまで住むところを与えてくれた竹やぶへの恩に報いるために、また、共に暮らしてきた他の鳥たちや獣たちのために、近くの湖へと急いで飛んでいき、その小さな羽を水でぬらしては、燃えさかる竹やぶの上から羽の滴を何度も何度も降り注ぎ続け・・・ 


これを天界から見ていた梵天が、こう小鳥にいいました。 「そなたの心はとてもけな気である。大変に立派で尊い行為である。しかし、炎はすでに竹やぶすべてを燃え尽くそうとしているではないか。どうしてその小さな羽の滴だけで燃えさかるすべての大火を消すことができようか」


この声を聞いた小鳥は、 「恩に報いようと思う心、他を慈しむ心から行っていることが、最後までやり遂げることのできないはずはございません。もしこの命が尽きようとも、次の生に及んでもわたくしはやり通したいです」  


梵天は小鳥のこの言葉に、その志を知って、共に力を合わせこの大火を消し止めました。  


                                     ー『雑宝蔵経』ー 


追記 今日は「阪神・淡路大震災」から22年目を迎えました。 


たくさんの家屋が倒壊し、いたるところで火災が発生し、道路もいたるところが寸断され… たくさんの尊い命が犠牲に・・・ 生前、看護師をしていた母も震災後の被災地へは何度も何度も。  


人生には、苦しいことや、悲しいこと、辛いこと、 逃げ出したくなること、いろいろなことが突然に起こります。  


でも、何か一つのことを、それも他の誰かのために、けっして見返りを求めることもなく。


一人では叶わないことも、皆と力を合わせれば大丈夫。


震災でお亡くなりになられた方々に心からご冥福をお祈りします。 


私はこれからも生涯、けっして忘れません。 


たくさんの人たちが、一生懸命に、精一杯に、 


しっかりとこの世で生きた証を、 


その輝かしい光を、 その尊き命の灯を。 


※ 写真 昌大氏 千燈供養


 合掌 

Buddhism ascetic priest

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