寛厳(かんげん)よろしきを得る
昔むかし、お釈迦様の弟子にシュロ-ナなる修行者がいた。富豪の家に生まれるも幼少の頃からとても病弱だった。
お釈迦様にめぐり会ってその弟子となり、日々血もにじむような厳しい修行に打ち込んだ。ある時は炎天下のもと、ある時は寒風吹きすさぶ極寒の中、どんなことがあっても決して挫けず逃げ出すことなくただひたすらに。
しかし、どのような辛く厳しい苦行を続けても、なお「さとり」を得ることはできなかった。
そんなシュローナを哀れんだお釈迦様がこうおっしゃられた。
「シュローナよ、そなたは家にいたときは琴を学んでいたことがあるであろう。糸を張ること急であっても、また緩くあっても、よい音は出ない。緩急(かんきゅう)よろしきを得て、はじめてよい音を出すものである。さとりを得る道もまたこれと同じ。怠れば道を得られず、また張りつめ過ぎても、決して道はえられない。だから、人はその努力についても、その程度をよく考えなければならない。」
この教えを受けて、シュローナはやがて「覚り」を、安息の静けさ(悟り)を得ることができた。
『パーリ長老偈註』
かの松下幸之助氏が残された金言にも、「やさしさばかりでは、人は成長しない。厳しいだけでも、人は萎縮し本来の力を発揮することができない・・・まさに、寛厳よろしきを得ることができるよう心がけることが何よりも大事・・・」と、
仏道修行に限らず、日常の生活の中でも人に対しても自分自身に対しても、「律する厳しさ」と、「解放する寛大さ」、「寛厳よろしきを得る」の心がけを問うてみる。
心穏やかで幸せな日々を得るためのヒントとは・・・
放逸者攝心(ほういつしゃしょうしん)、具修萬行(ぐしゅうまんぎょう) 速證菩提(そくしょうぼだい)、本日も勇往邁進、仏道精進。
合掌
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